浮腫(むくみ)のセルフモニタリング

 

ここでは、心不全が悪化していくときに生じやすい症状で、自ら気づきやすい症状の一つである浮腫(むくみ)について解説するとともに、自らが浮腫(むくみ)を自覚して、セルフモニタリングする方法についてお伝えします。

浮腫(むくみ)の自覚をセルフモニタリングしていますか?

もし、今、心不全のあなたの足に浮腫(むくみ)が出現したら、どのように思われますか?

「疲れがたまってしまったかな」とか、「寝たらなおるでしょ」とか、自分の想像で片づけてしまうことはありませんか。

心不全をお持ちの方は、浮腫(むくみ)が生じたとき、心臓に負担がかかっているかもしれないので要注意であり、浮腫(むくみ)の出現を意識することがとても重要です。

心機能と浮腫との密接な関係を理解することこそ、セルフモニタリングができるようになる第一歩ですので、ぜひ理解を深めてください。

心臓は、全身の臓器に酸素と栄養素を豊富に含んだ血液を送り届けていますが、その機能が弱くなると心臓の送り出す血液量が少なくなり、全身に血液がうっ滞(たまった状態)していきます。

全身から心臓へ戻る血液が交通渋滞を起こした状態になるため、末梢(各臓器や器官、手足)から血液が戻れず、そこに蓄積してしまいます。そうなると、末梢の細胞が水分を過剰に含んだ状態となり、浮腫(むくみ)が生じてしまいます。特に浮腫(むくみ)が生じやすいのは下肢で、動く量が少ない人ほどむくみやすい傾向があるようです。

末梢に浮腫(むくみ)が生じると、各器官や臓器は余分な水分保持のため、十分な活動ができなくなったり、機能を発揮できなくなったりします。呼吸器だったら、肺や器官が本来存在しない水分により活動しにくくなり、本来空気を出し入れする機能の邪魔になるのを避けるため、蓄積する水分を痰などに混ぜて、気道から排出しようとしたりします。それでも状態が改善しないと、息がしにくくなったり、痰が蓄積したりするなど、新たな症状をきたすことにもつながっていきます。

よって、体に浮腫(むくみ)が生じるということは、心臓の動きが弱くなっており、水分を十分に回せていないために苦慮しているシグナルだとしたら、あなたはどう感じますか?

この浮腫(むくみ)は、当然、心臓の悪い人だけに起こる現象ではありません。健康な人も、お酒などの水分を取りすぎた後、風邪を引いて体調が悪い時など、浮腫(むくみ)を生じてしまいますよね?ですから、浮腫(むくみ)が生じた、イコール心不全の悪化ではありませんが、悪化しているときもある、ということを理解し、自分の浮腫(むくみ)の出現に留意することが重要と言えるでしょう。

さて、今、あなたは、『浮腫(むくみ)は、心臓が苦しんでいるサインかもしれない』と理解することができましたでしょうか?

したがって、あなたは、日ごろ、動悸が出ていないか、を意識することが大切なのです。

合わせて、「浮腫(むくみ)の自覚で、モニタリングすべきポイント」も理解してくださいね。

 

浮腫(むくみ)の自覚でセルフモニタリングすべきポイント

『浮腫(むくみ)は、心臓が苦しんでいるサインかもしれない』ということは理解できましたか?

まだ理解できていない人は、「浮腫(むくみ)の自覚をセルフモニタリングしていますか?」を参照してくださいね。

あなたの心臓は、酸素と栄養素を含んだ血液を全身に送り出していますが、心臓が弱っていて、血液が心臓で滞り気味だったら、体はどうなってしまうと思いますか?

ーそうです、浮腫(むくみ)が生じてしまいます。

全身に水分が滞りがちになったら、体はどうなるのでしょうか?

-そうです、浮腫(むくみ)をはじめとして、尿が出にくくなったり、息苦しくなったり動悸がしたり…、様々な心不全症状が現れ、病状悪化が生じてしまいます。

ゆえに、浮腫(むくみ)という自覚症状をセルフモニタリングして、心臓に負荷がかかっていないか、気を付けることが重要なのです。

あなたの生活で、浮腫(むくみ)が生じやすいタイミングはありませんか。浮腫(むくみ)の出現やその変化を意識してみましょう。

これまで、私が出会った患者様は、

・朝起きたとき:顔がむくんだ感じがする

・活動をしたとき:足が重くだるい感じがする、足がついてこない

・トイレに入ったとき:尿がいつものように出ない、少ない

・横になったとき:横になると寝苦しい感じがする
などなど、生活の随所で浮腫(むくみ)に影響された経験をされているようです。

多くの人は、心臓が悪いから浮腫(むくみ)が起こりやすいことを理解されているようですが、浮腫(むくみ)が心臓の頑張りを示すものとして、病状の変化の指標にすることは大切です。

つまり、浮腫(むくみ)の自覚でセルフモニタリングすべきポイントは、自己の生活における浮腫(むくみ)がどのようなタイミングで生じやすいのか、また、浮腫(むくみ)の出現の仕方は変化していないか、をできる限り把握すること、です。

合わせて、「浮腫(むくみ)の変化を自覚したらどうしたらいいのか?」も理解してくださいね。

 

浮腫(むくみ)の変化を自覚したらどうしたらいいのか?

あなたは、自分の生活において、浮腫(むくみ)の出現に留意する必要性が、わかってきましたか?

まだ理解できていない人は、「浮腫(むくみ)の自覚をセルフモニタリングしていますか?」を参照してくださいね。

さて、浮腫(むくみ)が生じたり、その程度の変化が感じられたらどうすればよいのでしょう??

先ずは、浮腫(むくみ)がどのように変化しているのか、じっと感じてみましょう。

①浮腫(むくみ)がでているが、前にも感じたことのある程度だ

②浮腫(むくみ)がでて、体を動かすのをやめているが、浮腫(むくみ)が引かない、ひどくなっている

③浮腫(むくみ)がでて、ひどくなっている。前に出来たことが出来ない

④浮腫(むくみ)がいつも以上に強く、休んでも改善した感じがしない

どのような状態かをしっかりとらえましょう。

あなたの浮腫(むくみ)は、上記のどれかに当てはまることになると思いますが、その状態をどのように解釈しますか?

症状や状態に対する解釈が適切になされることで、病状悪化が食い止められるのです。

①の状態の場合は、要注意ですが、安静にすることで収まるようであれば、少し様子を見ることは可能な状態と言えるでしょう。前にも感じたことがあるなら、前におこなった対処行動をとってみるのも良い方法です。

しかし、②、③、④は、安静にして心負荷を減らして浮腫(むくみ)が落ち着いたとしても、浮腫(むくみ)が悪化傾向にある可能性が否定できません。浮腫(むくみ)の増強は、心臓が十分に働けていないために起きているのですから、心不全の状態悪化が生じ始めている恐れがあります。そのほかに、息切れや倦怠感、咳など、随伴症状がないかどうかも意識してみることも必要です。このような時は、病院に行くことも考え、これまでの医師の指示を思い出して、積極的に対処しましょう。

浮腫(むくみ)がでたときは、「このくらいなら大丈夫だろう」とか、「心臓が悪いんだから仕方がない」とか、ついつい軽いほうに考えてしまいがちになります。

でも、その小さな見逃しが、あなたの心臓の負担となり、浮腫(むくみ)を悪化させているかもしれません。

心臓を守るのは、あなた自身のセルフモニタリングで可能です。自分の傾向を医師と相談し、留意点を確認していくことも積極的に取り入れていくとよいでしょう。

浮腫(むくみ)の自覚をあなたの生活に取り入れて、その症状変化に適切な判断を下していきましょう。

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