内服状況のセルフモニタリング

 

ここでは、心不全を悪化させてしまいやすい生活行動で、自ら気づきやすい行動の一つである薬の内服状況について解説するとともに、自らの内服状況を自覚して、セルフモニタリングする方法についてお伝えします。

薬の内服状況をセルフモニタリングしていますか?

あなたは、普段、処方されている薬をきちんと飲むことができていますか?ここでは、心不全とお薬について考えていきます。

心不全という病気は、血液の流れを調整する心臓の調子が悪くなっている状態なので、心臓の力を回復する薬や心臓の負担を取り除く薬が処方されます。

どの薬も、心臓が楽に働けるようにする薬です。処方された薬剤は用量と用法(一回に飲む量と飲み方)を間違いなく、服薬する必要があります。

また、血液をサラサラにする薬(抗凝固剤)や、尿を作りやすくする薬(利尿剤)を処方される方は、受診のたびに1回量が変動しているという場合があります。その時の血液の状態、循環状態などにより、医師が微調整をしているのです。しかし、不慣れな方は、なんだか調子が悪いと思ったら、薬が増えていたのを忘れてしまっていて、薬が余ってから気がついたというケースもあります。

微妙に調整される薬こそ、適量をしっかりと内服することが重要ですので、処方薬がある方は、自分が適切に薬を飲めているのかを、自ら監視するセルフモニタリングを行うことが重要です。

心不全のある方が服薬するお薬は、「強心薬」と「心臓への負担を軽減する薬」の二つに大別されます。

「強心薬」は、心臓の収縮力を上げる薬で、十分な血液を全身に送り循環力をアップさせる効能があります。

「心臓の負担を軽減する薬」は、尿量を増やし、循環血液量を調整する薬(利尿薬)や、血管を拡張させて循環の抵抗を軽減する薬(硝酸薬)など、たくさんあります。

医師は、あなたの体調を改善する薬剤を選び、常により良いものへ変えていこうとしますので、飲んでいる薬の効果がでているか、自分でも薬効を理解し、ご自身の変化を意識していくことで、薬剤のコントロールがうまくいきます。

ぜひ、自分の身体に必要な薬剤への興味を深め、医師任せにせず、薬と体調の関係を意識してください。

さて、今、あなたは、薬の内服状況を自分でしっかりと把握することの大切さを理解することができましたでしょうか?

内服状況と内服の影響を、しっかりとご自分でセルフモニタリングしていってくださいね。

合わせて、「薬の内服状況で、モニタリングすべきポイント」も理解してくださいね。

薬の内服状況でセルフモニタリングすべきポイント

内服状況と内服の影響を、しっかりとご自分でセルフモニタリングする必要性を理解できましたか?

まだ理解できていない人は、「薬の内服状況をセルフモニタリングしていますか?」を参照してくださいね。

心不全により、全身に血液を送る力が弱まっている心臓は、「強心薬」により、その心拍出量を増やし、血液循環を円滑にしようとします。

よって、強心薬を服薬すると、低めの血圧が落ち着いたり、これまでより高めに保たれたりすることがあります。また、循環が改善しますので、体調がよくなった感覚が出てくることもあるようです。

飲み忘れがあると、力が出ない、だるい、すっきりしないといった倦怠感を伴う身体の負担感が感じられたりするようです。

したがって、強心剤は、飲み忘れてはいけない、大切なお薬なのです。しっかりと飲めているかを注意していきましょう。

また、「心臓の負担を軽減する薬」は、循環血液や血管に働き、心臓の仕事がやりやすく、負担とならないように調整する薬です。

医師は、受診時の体重や血圧、レントゲンで見える心臓の状態などを総合的に判断し、薬の量を増減して、微調整を図っていきます。

この処方量の変動がある場合、心不全が良くなったり悪くなったりしている背景があります。よって、ぜひ処方されるときには、薬の変動理由を医師と共有し、ご自身の身に起きていることを理解することは重要です。

よく微調整が行われるのが、利尿剤です。体重が増え、レントゲン上、心臓が大きく腫れている状態になっている時は、身体から水分を放出させることが必要となり、利尿剤を多く処方されることになります。

ご自分で薬物量の変動要因を理解し、その結果を次の受診時に確認してみてください。薬の変更という目に見えることだけではなく、利尿剤が増えたのなら、むくみが出やすいとか、息苦しさがとれないなど、様々な関連症状を伴っていることもよくあります。その症状がどのように変化しているのかを意識したり観察したりすることも、体調を管理することにつながり、疾病の増悪予防効果を発揮します。

よって、薬を飲んでいるから大丈夫、と薬任せにせず、薬を飲む理由を理解し、関連する症状を自覚するよう努めて、薬の効果が出ているのか、体調は悪化傾向から改善傾向にあるのかを自ら確認するように意識することを大切にしましょう。

自分の病状変化を感じ取る力は、いつ訪れるか分からない、病気の急性増悪に早期対処するセルフモニタリング能力を高めることでもあります。

薬の変化は、自分の病状変化の現れと理解し、何が起き、薬でどのような改善を期待されているのか把握し、ご自分の自己管理に活用していきましょう。

心不全の方に、薬についてお考えのことを尋ねると、たいてい、飲み忘れないようにしている、と飲むことを大切になさっています。そして、飲み忘れがないいように、生活の中での工夫はたくさん行われています。人によっては、記録したり、ピルケースを活用したり、ご自身の忘れるタイミングや傾向を含めて工夫されることが重要のようです。

さらに、自分は薬を適切な量飲んだのか、自分は薬の飲み方と飲む時間を間違えずに飲んだのか、など、自分なりに忘れがちな観察ポイントを意識して、しっかり内服することが重要です。

しかし、飲めたということだけでは、十分な内服状況のセルフモニタリングとは言えません。

薬を飲んだ結果、体調はどうか、処方時に医師が気にかけていた症状や医師が期待していた薬効は現れてきているのか、もしくは、消退しているのか、自分自身の感覚や症状の変化をとらえていきましょう。

お薬の内服は、食事と同様、毎日の積み重ねで、少しずつ変化が現れてきます。身体の変化をいつも意識して、体調管理に生かしていきましょう。

 

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