「心不全患者のセルフモニタリング評価尺度」の利用について

「心不全患者のセルフモニタリング評価尺度」(Evaluation Scale for Self-Monitoring by patients with Heart Failure)を心不全患者様に対して利用することをご希望の方は、使用許可を発行しておりますので、お問い合わせください。

本尺度に関する説明は、以下をお読みください。

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1. 心不全患者のセルフモニタリング評価尺度とは

「心不全患者のセルフモニタリング評価尺度」(Evaluation Scale for Self-Monitoring by patients with Heart Failure)は、心不全患者様を対象とした調査研究に基づき作成されてされています。心不全患者のセルフケアを高める支援を実践するうえで見極めるべき、セルフモニタリングの様相を測定するために開発しました。 心不全患者のセルフモニタリングの概念に基づき、患者が心不全に伴う身体症状の変化、身体活動の変化、体調管理の状況について、どの程度自覚または測定し、その内容を解釈しているのかを明らかにするために有用な測定用具です。

 

2. 心不全患者のセルフモニタリング評価尺度の構成

心不全患者のセルフモニタリング評価尺度は、領域 1(6 下位尺度、21 項目)と領域 2(4 下位 尺度、16 項目)からなり、セルフモニタリングの「自覚」と「測定」を測定する領域 1 は、「増悪の 兆候を気にしている」「体調を定期的に測っている」「測定結果が気になる」「水分の量を気にし ている」「動きに伴う身体の調子を気にしている」「受診と内服の指示を気にしている」という 6 つの下位尺度が含まれています。これらは、患者が身体症状の変化、身体活動の変化、体調管理の状況を「自覚」と「測定」によりどの程度知ることができているのかを示すものとなってい ます。セルフモニタリングの「解釈」を測定する領域 2 は、「増悪の兆候に対する予測的解釈」 「体調管理の状況と症状に対する解釈」「脈の悪化に対する解釈」「水分貯留に対する解釈」と いう 4 つの下位尺度が含まれています。これらは、領域 1 の自覚と測定により捉えた内容を適 切に解釈できているかどうかを示すものとなっています。 解答は、5 段階のリッカート尺度(1= ”そう思わない” ~ 5= “そう思う”)にあてはめ、高い得点ほど健康管理としてのセルフモニタリングが行われている頻度が高いことを示しています。 なお、領域1には逆転項目が含まれますので、得点は逆算することが必要です。

 

3.心不全患者のセルフモニタリングの定義および概念について

この心不全患者のセルフモニタリング評価尺度は、「心不全に伴う身体症状の変化、身体活 動の変化、体調管理の状況について自覚または測定し、その内容を解釈すること」 という心不全患者のセルフモニタリングの定義の上に成り立っています。セルフケアという大きな概念を 細かくみると、セルフケア行動に至るプロセスには、「セルフモニタリング」が必ず存在しており ます。これは、患者によって行われる適切なセルフモニタリングが直接的にセルフケア行動に影響することを意味しており、セルフモニタリングがセルフケア行動を改善するための鍵にな るという考えの基盤となっています。 また、心不全患者のセルフモニタリングは、自らの状況や変化を主観的に把握する「自覚」、 それを客観的に把握する「測定」、および把握した事柄の意味を自分なりに考え、理解する「解 釈」の 3 つの側面が含まれていると同時に、先行要因(知識・技術・関心)および関連概念(セル フマネージメント・セルフエフィカシー)の影響を受け帰結(適切なセルフマネージメント・QOL の改善)に至る概念となっています。各用語の詳細な定義、および概念構成に関しましては、参考論文をご確認の上、ご使用下さい。

 

4.心不全患者のセルフモニタリングに関する研究論文

服部(2009) : 心不全患者のセルフモニタリングに関する文献レビュー -健康管理に関する諸概念との比較ー甲南女子大学研究紀要, 第 3 号, p7-13

服部(2010) : 心不全患者のセルフモニタリングの概念分析、日本看護科学学会誌, vol.30, No.2, p74-p82

Hattori (2011) : Development of an Evaluation Scale for Self-Monitoring by Patients with Heart Failure, Kobe Journal of Medical Sciences, vol.57, No.2 他

 

5.利用に関してのご注意

本尺度は尺度開発の手法に則って信頼性と妥当性を確保していますが、さらなる改良の余地があり、さらなる検証と修正が行われていく可能性がありますことをご了承ください。 また尺度はお断りなく、修正や改定されることがありますこともご了承ください。

本尺度の測定結果は、心不全を患う方のセルフモニタリング状況を明確化し、その方の健康管理状況を支援することを目的としています。心不全患者様の自己管理能力のチェックのみや、対象者様同士を比較したりすることへの活用はご遠慮いただいています。健康支援に役立つツールとして利用される方に使用許可を発行していますことをご了承ください。

 

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