増悪させない生活行動
受診状況のセルフモニタリング
ここでは、心不全を悪化させてしまいやすい生活行動で、自ら気づきやすい行動の一つである受診状況について解説するとともに、自らの受診状況を自覚して、セルフモニタリングする方法についてお伝えします。
自分の受診状況をセルフモニタリングしていますか?
あなたが心不全を患っているなら、どこかの病院にかかっていることでしょう。
定期処方がある場合は、こまめに通院をなさっているでしょうし、半年や年単位でエコーなどの検査受けるようなフォローを受けている場合もあるでしょう。
心臓はご自分では感じ取れなくても、いっぱいいっぱいで稼働し、負担が掛かってしまっていることもよくあります。医師の指示通り、定期的な受診は決して欠かしてはいけません。
医師に指示されたとおりに受診をする、ということがきちんとできているかどうかを自ら確認することは、大切なセルフモニタリングの一つです。
忙しくて受診を先延ばしにしてしまう方、とりあえず薬だけ処方してもらおうとする方がおられます。ご本人からすると、何も変わりないし、心不全症状も出ていないから何ともないんだ、と、病院で診察を受ける必要性を感じないのかもしれません。
忘れてはいけないことは、さまざまな治療や薬の効果で調子が良くなっている、ということです。調子が良くなっているのなら、今は利尿剤などの「心臓の負担を軽減する薬」の量は減らしても良いのかもしれません。不必要な薬物を多く飲むことは別な臓器に負担をかけてしまうので、いいことではありません。調子の良い時も、調子の悪い時も含めて、経過を確認してもらい、その時々の心臓の調子にあった対応を受け続けることがとても大切なのです。
よって、自分の判断ではなく、医師の指示を理解して受診を継続することがきちんとできているかどうかを、しっかりセルフモニタリングしていきましょう。
もう一つ、大切な受診のセルフモニタリングは、受診日以外でも調子の悪い時に、病院で診察を受ける用意をしているか、というモニタリングです。
何だか疲れが取れず、いつもの活動が出来なくなって、2階に上がるだけでも息切れがして、横になってもぐっすり眠れない、など、調子の悪さや病状悪化を感じたとき、あなたはどうしますか?
患者さんは、受診日以外の受診をとてもためらうようです。これまで出会った方には、以下のような方がおられました。
・あと1週間もせず受診日になるから、それまで我慢しよう
・年末で、ちょっとお酒が多く夜更かししてしまったから悪化した。正月寝ていればよくなるだろう
・病状が悪くなっているのは分かったけど、自己管理が悪いと叱られそうだから受診したくない
いずれも、病状が悪化傾向にある自覚をお持ちの上、受診した方がよいという気持ちも持っているのがわかります。しかし、受診行動には至らず、急性増悪をして、救急搬送されたり時間外受診をせざるを得なくなったりしてしまうのです。
ためらう気持ち、良い方に考えたい気持ちは分かりますが、どの程度までの我慢が限界なのかを知り、受診の判断を適切に行えるようにすることが、命を守るためには重要であることがお分かりかと思います。
自分の不摂生のせいで悪化しているとしても、自分で体調を回復させるには心不全の場合、非常に難しいのです。よって、悪化の兆しを感じたときに、自分は適切に定期外でも受診をするという選択が出来ているかどうかをモニタリングすることも大切なのです。
自分で悪化の兆しをとらえ、限界点で受診をするという判断は非常に難しいものです。病状を的確にとらえて、各症状の変化をモニタリングしていく必要があります。よって、このホームページでは病状を自己管理する上で必要なモニタリング項目を解説しています。合わせて確認の上、モニタリング能力を身に着け、それらの病状変化に応じて受診行動を起こすというモニタリングも行ってもらいたいと考えています。
さて、今、あなたは、定期受診を滞りなく行うことの大切と、定期受診以外でも、病状悪化時には受診をするつもりを持つことの大切さを理解することができましたでしょうか?
医師任せにせず、自ら病状を管理するつもりで、自分が適切に受診できているかどうかを意識し、モニタリングしてくださいね。
合わせて、「受診状況で、モニタリングすべきポイント」も理解してくださいね。
受診状況で、セルフモニタリングすべきポイント
自らの受診行動をモニタリングする必要性は理解できましたか?
まだ理解できていない人は、「自分の受診状況をセルフモニタリングしていますか?」を参照してくださいね。
まずは、定期受診がきちんとできているか、意識していきましょう。たいていの方は出来ています。
次に、定期受診時に、医師に伝える自分の体重や血圧などの測定結果、体調変化の変化を準備しておきましょう。
自分の自覚している身体の変化や症状に対して、医師がどのような判断をしているのか、(このままでも大丈夫なのか、薬物の増減があるのか、など)を理解するとともに、次の受診時までの留意点を確認しましょう。
病状の変化がある場合、次の受診までの間はいつもと異なる過ごし方が望ましい場合もありますので、自分の変化と共にそれに対する対処方法も把握しておくことが大切です。
さらに、病状悪化に注意するように指摘された場合は、どの程度の病状悪化なら様子見で良いのか、ということ理解し、緊急で受診が必要な状態とはどのような状態であるのかを、医師から学んでおきましょう。これが、病状悪化の早期対応につながり舞す。
薬の量が増減した場合には、その理由を理解しておきましょう。病状の変化があるから増えたり、改善しているから減ったりしているはずです。しかし、薬が減ったことで、また調子が悪くなることだって起こりえます。よって、薬の内容変更には敏感になり、増減の理由を把握して、それに伴う症状や反応が起きて来ていないかを意識しながら過ごすように意識することが大切です。その内容が理解できない時は、医師や薬剤師、看護師に尋ね、理解を深めましょう。