塩分のセルフモニタリング

 

ここでは、心不全を悪化させてしまいやすい生活行動で、自ら気づきやすい行動の一つである塩分摂取について解説するとともに、自らの塩分摂取を自覚して、セルフモニタリングする方法についてお伝えします。

塩分をセルフモニタリングしていますか?

あなたは、普段、自分の食事に含まれる塩分を意識して調整していますか?ここでは、減塩と心不全について考えていきます。

血圧が高い方は、塩分について特に厳しく注意を受け、減塩に努めておられるかもしれません。心不全の方の中には、血圧が高くないため、減塩は必要ないと思ってしまっている方もおられるようです。しかし、塩分は、血圧に影響するだけではなく、むくみの原因となり、心臓に負担をかけてしまうことがあるのです。

心不全になり入院中は体重が減り、退院したら食事量は少ないのに体重が増えたという方がいます。間食も飲酒もなく、本当に必要最低限の3食を野菜中心に摂取しているにもかかわらず、なぜ太るのかしら?と疑問に思われて看護師に尋ねてきたりします。そういう方は、ご自宅の食事の塩分量が多いために体重が増えているという可能性が考えられます。

つまり、心臓の力が弱い心不全状態の方が、塩分を多く摂取すると体重が増えてしまうのです。この原因の詳細は、むくみです。塩分を多く摂取した後、必然的に血液中の塩分濃度が上昇します。そうすると、体内では濃い塩分濃度をちょうどよくしようとして、血液中に水分を多く取り込む作用が働きます。また、血液中の水分を増やすために尿として体外に排せつする水分も制限して、体内に水分をため込んで、塩分濃度を下げようとします。これは、心臓が悪くなくても起きる現象ですが、心臓の悪い方は、増えた血液量を全身に循環させるという心臓の仕事が負担となるのです。よって、心臓に負荷をかけないためには、減塩食に努めて、体内に水分を取り込んでしまうようなことが無いようにすることが大切なのです。

心臓の悪い方は、こ自身の塩分摂取について意識して、減塩に努めることがとても重要です。

心不全は心臓の働きである血液を循環させる力が弱い状態であることから、血液量が増えるというのは心臓に負荷をかけ、心不全を悪化させることにつながってしまうのです。ついつい、ドレッシングやお醤油は美味しいので多くかけてしまいがちですが、塩分を取り過ぎる原因の一つです。塩分を控えめにすることを心がけ、血液量が増えることが無いように意識して、毎日の食事を楽しみたいものです。

塩分に注意が必要なのは、血圧が高い人だけではありません。この点について、ぜひ理解を深めてください。

さて、今、あなたは、『塩分の取り過ぎが心臓の負担になる』と理解することができましたでしょうか?

したがって、日ごろから、塩分を取り過ぎないように意識して、行動できているか、ご自分でセルフモニタリングすることを大切にして下さい。

合わせて、「塩分の摂取で、モニタリングすべきポイント」も理解してくださいね。

塩分の摂取でセルフモニタリングすべきポイント

『塩分の取り過ぎが心臓の負担になる』であることは理解できましたか?

まだ理解できていない人は、「塩分をセルフモニタリングしていますか?」を参照してくださいね。

あなたの体は、塩分が必要です。塩分が無ければ、身体は正しく機能することができません。しかし、塩分が多くなってしまうと不必要な塩分を体外に排せつするために、身体は余計なお仕事を強いられることになるのです。

多く取り込まれた血液中の塩分濃度を適正な値まで下げるためには、血液中の水分を増やして中和しなくてはなりません。血液中の水分を増やすために、身体は尿に出す水分を減らします。よって、尿量の減少が起こります。また、全身をめぐる血液の量が増えるわけですので、細胞内の水分も多くなっていきます。その結果、身体のむくみが起こりやすくなります。身体のむくみの量が増えてくると、体重の増加が現れます。そして、「あら、太ったわ」と思うのです。しかし、いくら食事量を減らしても痩せないし、むくみも取れない、と言った状態に陥るのです。

よって、塩分が適切に摂取され、心臓に負担がかかっていないかを診るためには、尿量、むくみ、体重といった項目をしっかりとセルフモニタリングすることが大切です。この3つの症状は、非常に密接に関連していますので、いつもつなげて意識していくと良いでしょう。

さらに、状態が悪くなると、身体活動を行った時に、身体がしんどくなる倦怠感が生じたり、息切れが起きて、活動に耐えられない状態になることもあります。加えて、むくみという状態が肺にも及び、肺の水分が多くなると咳が出たり、痰が出たり、横になって休むことが息苦しくて困難になることもあります。これは、心不全が増悪している状態です。こうならないように、毎日の塩分摂取量を適切にすることは非常に重要なことなのです。

ですから、塩分の摂取量を意識し、取り過ぎていないかをセルフモニタリングして、身体に負担をかけないよう気を付けることが重要なのです。

食事は毎日の積み重ねです。いつも意識して、減塩に努めていきましょう。

合わせて、「塩分の取り過ぎが分かったらどうしたらいいのか?」も理解してくださいね。

塩分の取り過ぎが分かったらどうしたらいいのか?

あなたは、自分の食生活において、塩分を取り過ぎないように留意する必要性が、わかってきましたか?

まだ理解できていない人は、「塩分をセルフモニタリングしていますか?」を参照してくださいね。

さて、自分は塩分を取り過ぎている、と思ったらどうすればよいのでしょう??

先ずは、むくみが起きていないか、体重が増えていないかを確認して下さい。

そして、気づいたときから減塩に努めて下さい。もし、減塩の仕方が上手く行かない方、分からない方は、かかりつけの病院で相談してみましょう。栄養士さんがおられる病院では丁寧に食事の指導をしてくれます。自分の食生活についてお話をして、取り入れられる工夫や改善点をあなた流に教えてくれるはずです。気になることは、どんどん病院で相談して、心臓を守って下さいね。

「塩分は控えています」という方でも、お弁当をよく食べる方、かまぼこ等の調理済み食品や加工食品をよく食べる方は要注意です。自分では調節できない塩分がそれらには多く入っています。お弁当やかまぼこ・ソーセージなどの調理済み食品・加工食品は味が濃いので美味しく感じるのです。そういうものを多く食べる場合は、自分でかける醤油や塩を控えても塩分摂取が多くなっていることが良くあります。

自然食品を準備し、自分で調理すると1から塩分調整が可能になりますが、体調やご年齢によりそうも出来ない方も多くおられます。その場合は、お弁当の内容や調理済み食品・加工食品に含まれる塩分を意識し、塩分過剰にならないように食べ方で調整をする必要が出てきます。細かいことで、面倒な調整ですが、この蓄積が心臓の負担に影響してしまいますので、気を付けていきたいものです。

心臓を守るのは、あなた自身のセルフモニタリングで可能です。自分の食生活の傾向を医師・看護師・栄養士と相談し、留意点を確認していくことも積極的に取り入れていくとよいでしょう。

塩分の調整を工夫し、その症状変化にも留意し、心臓を守ってあげましょう。

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